of Service Engineering

Service Explorer -サービスの解析・設計作業支援ソフトウェア-


新井教授、原助教、首都大学東京 下村教授


 日本の製造業が飛躍的な成長を遂げた一つの理由は製品の設計・生産に関連する知識・技術・技能の進歩とその高度な体系化であった.そこでは,製品設計が工学分野における学問対象としての地位を確立したことに加え,近年では計算機の発達により設計作業を計算機上で支援するためのソフトウェア(Computer Aided Design: CAD)が産業界において普及し,製造業の高生産性に大きく寄与している.製品設計・生産と同様に,当研究室では,サービスを設計・開発するための方法論を整備するとともに,Service Explorer と呼ばれるサービス設計支援システム(サービスCAD)を開発してきた.2004 年にService Explorer ν(ニュー)Figure 2)をリリースし,現在はService Explorer Ξ(クシー)Figure 1)の開発を継続して行っている.CAD といえば幾何学的形状の詳細設計ツールをイメージするのが一般的である.しかしながら,製品・サービスの仕様は基本設計の段階まででほぼ決定されてしまうため,概念設計・基本設計に対する支援の重要性はいっそう高まっている.Service Explorer はサービスの概念設計を支援するツールであり,以下の特徴を有する.

  • 概念設計ツール :語彙表現の関係を演算対象とし,上流設計を支援
  • 顧客分析ツール :市場調査の結果を基に,顧客の要求を表現・要素化
  • デザインレビューツール :マーケティング従事者,エンジニアが協同で利用可能
  • 合意形成ツール :サービスに関わるステークホルダーの情報を統合
  • サービス事例の収集と評価 :サービスモデルの入力とサービスの評価機能
  • 類推に基づく事例参照 :オントロジーとサービス事例を用いたアナロジー推論
  • Service Explorer が有する,既存サービスの改善と新たなサービス創出の支援機能によっ て,高い競争力を有する新しいサービスを開発する上で大きな効果を期待できる.

    Fig 1: The conceptual scheme underlying Service Explorer Ξ
    Fig 2: Screenshots of Service Explorer υ















    Keywords: Service Engineering, Design, Service CAD


    References
    1) 新井民夫, 下村芳樹: サービス工学 -製造業製品のサービス化-. 一橋ビジネスレビュー, 2006 年 秋号. AUT. Vol. 54, No. 2, pp. 52-69, 一橋大学イノベーション研究センター編集, 東洋経済新聞社, 2006.
    2) 下村芳樹, 原辰徳, 渡辺健太郎, 坂尾知彦, 新井民夫, 冨山哲男: サービス工学の提案 - 第1 報, サービス工学のためのサービスのモデル化技法-. 日本機械学会論文集C 編, Vol. 71, No. 702, pp. 315-322, 2005.