第5回生産学術連合会議
「ものづくりにおける失敗と技術の伝承」


開催趣旨
「ものづくりにおける失敗と技術の伝承」をテーマとして,「失敗から学ぶものづくり」と「技能,技術の伝承」に関する議論を通じて,これからの日本を支える「ものづくり」のあり方について考える.「ものづくりにおける失敗」では,技術のあらゆる分野で起こっている失敗から,その真の意味を汲み取り,つぎの失敗を防止し,失敗の生かし方,失敗への対処の仕方を考える.「技術伝承」では遷宮に関する宮大工の技能の伝承と教育を話題として,技能,スキルの解明の必要性と技術者や社会への要望を通して今後の対応への考え方をさぐる.
生産学術連合会議代表
西脇信彦
実行委員会委員長
藤本英雄
主催
生産学術連合会議
共催
(組織学会)型技術協会/自動車技術会/スケジューリング学会/精密工学会/電気加工学会/砥粒加工学会/日本機械学会FA部門/日本機械学会生産加工工作機械部門/日本トライボロジー学会/日本ロボット学会/プラスチック成形加工学会/溶接学会/日本塑性加工学会/日本材料学会/計測自動制御学会(幹事学会)
名古屋工業大学/中部産業連盟/中部自動化協会

期  日
2001年12月6日(木),7日(金)
会  場
名古屋工業大学講堂ホール   〔名古屋市昭和区御器所町〕
     最寄駅 JR中央線「鶴舞駅」下車,東へ徒歩5分
参 加 費
共催学協会正会員 15,000円,一般 25,000円,
共催学協会学生会員 5,000円
技術交流会参加費
6,000円
技術交流会に参加希望の場合は,参加申込書の送金金額に会議参加費と技術交流会参加費を合わせた金額をご記入ください.
申込締切日
2001年11月2日(金)
定員になりしだい,締め切らせていただきます.
参加申込
郵便、FAXにて受け付けます。参加申込書に必要事項をご記入の上、下記宛にお申し込みください。なお、参加申込書は本ページよりダウンロードできますのでご利用ください。 社団法人 計測自動制御学会 第5回生産学術連合会議事務局
113-0033 東京都文京区本郷 1-35-28-303
TEL:03-3814-4121、FAX:03-3814-4699
問合せ先
電話(0423)88-7099 (東京農工大学 西脇信彦)または
電話(052)735-5330,FAX(052)735-5342
(名古屋工業大学 藤本英雄)

第5回生産学術連合会議プログラム word形式(*.doc、43KB)

「ものづくりにおける失敗と技術の伝承」
12月6日(木)
10:00〜10:05 開会挨拶・趣旨説明
生産学術連合会議代表 東京農工大学 西脇信彦 氏

10:05〜18:00 Session A「失敗に学ぶものづくり」
司会 東京農工大学 西脇信彦 氏

10:05〜11:20
A-1 「失敗学の構築」     
工学院大学 畑村洋太郎 氏
思いもかけない失敗が多発している.これは失敗のマイナス面ばかりを見ているためではなかろうか.失敗には社会の進歩に必要な不可避な失敗と起こしてはならない失敗(許されない失敗)があり,起こってしまった失敗をプラスに転化することが重要である.そのために,新たに失敗を真正面から見据えた「失敗学」を構築する.
11:25〜12:25
A-2 「エンジニアの創造と失敗の克服と成長」
セイコーインスツルメンツ 守友貞雄 氏
日本の製造業の強さはエンジニアの強さによると言ってよい.その強さは明治以来,実践を重視した工学教育にある.さらに,挑戦的な課題の執行の際に生ずる失敗を克服する体験によると言える.これらについて事例を交えて説明する.

12:25〜13:30 昼休み

13:30〜14:30
A-3 「破壊事故に学ぶものづくり」
東京工業大学 小林英男 氏
歴史的に,そして今,われわれは数多くの機器の破壊事故を経験している.破壊事故は人と技術の失敗の結果であると同時に,技術進歩に伴う未知への遭遇による必然の結果でもある.最近の破壊事故に学び,今後のものづくりの指針を示す.

14:35〜15:35
A-4 「土木分野における事故の原因調査の在り方と事故経験の伝承方法について」
(財)リバーフロント整備センター 松田芳夫 氏
土木の分野における事故は公衆を巻き添えにすることが多いので“犯人探し”に重点が置かれ,肝心の事故原因の探究に熱心でない傾向がある.権威ある科学的調査を行い,その結果に基づいて責任のある者があればその処断を求めるという冷静なシステムの確立が望まれる.

15:40〜16:40
A-5 建築分野の失敗─建築物の事故と瑕疵─ 工学院大学 嵩 英雄 氏
建築の失敗は,建築物の企画・設計・施工・運用の各段階で頻繁に発生しているが,公にされることは少ない.工事中の事故と竣工後に問題となる建物の瑕疵問題を中心に建築の失敗例とその原因・対策について概説する.

16:40〜16:55 休 憩

16:55〜18:00
A-6 パネルディスカッション    司会 畑村洋太郎 氏
失敗は,本講演で話したとおり,技術のすべての分野で起こっている.そしてそれらのどの分野でも起こってしまった失敗から,その真の意味を汲み取ることでつぎに起こるかもしれない失敗を未然に防ぎ,さらに技術知識の積み増しを行う.このパネルディスカッションでは,工学の広い分野での失敗の生かし方を討論し,技術全体としての失敗への対処の仕方を話し合う.
パネラー:守友貞雄 氏,小林英男 氏,松田芳夫 氏,嵩 英雄 氏

18:00〜19:30
技術交流会        司会 慶応義塾大学 青山藤詞郎 氏


12月7日(金)
9:20〜12:05
Session B「失敗に学ぶ計測」
司会名古屋工業大学 藤本英雄 氏

9:20〜10:05
B-1 「大規模輸送管理システムのための高アシュアランスシステム」         
(株)日立製作所 解良和郎 氏
最近の大規模システムでは段階的なシステム建設や変化するニーズへの対応のため,「システムの成長」が重要課題である.しかしシステムの成長時は,せっかく作りこんだ信頼性を壊しかねず,信頼性維持・安定稼動が難しい.これに対して高アシュアランスシステム技術が有効であり,大規模輸送管理システムの例を交えて述べる.

10:10〜10:55
B-2 「ナトリウム漏えい事故原因となった温度計の破損」
核燃料サイクル開発機構 池田真輝典 氏
高速増殖原型炉もんじゅは平成7年12月に,温度計の破損によりナトリウム漏えい事故を起こした.温度計は,ナトリウム配管内に突き出た形で取り付けられており,流れとの相互作用によって振動し破損に至ったものである.この種の破損を回避するための方策と,失敗から学んだ教訓について紹介する.

10:55〜11:05 休 憩

11:05〜12:05
B-3 「失敗が進歩させた計測機器」
(株)横河総合研究所 山崎弘郎 氏
 計測を具体化する計測機器では,まさに失敗につぐ失敗が,革新的な機器技術を誕生させ,育成してきた.失敗の大部分は,予測しえないノイズに由来する.しかし,そのノイズのおかげで問題解決の手がかりが得られ,感度や応用範囲が飛躍的に進歩する構造がある.ノイズは,次に進むべき方向を技術者に示唆する貴重な情報である.

12:05〜13:10 昼休み

13:10〜14:10
司会 生産学術連合会議最高顧問 岩田一明 氏
特別講演「日本のものづくりの欠点・課題,将来の方向性」
経済産業省製造産業局 吉田 健一郎 氏
経済産業省では,製造現場に散在するノウハウ・技術を活用可能とし,ITと製造技術を融合した新しい製造ビジネスモデルの構築を目的とするデジタル・マイスター・プロジェクトを始動させようとしている.その概要等,日本のものづくりの課題・将来の方向性について説明する.

14:15〜16:55
Session C「技能・技術の伝承」
司会 大阪大学 荒井栄司 氏
14:15〜15:05
C-1 「人気クラッシックカメラ[S3]の復刻を実現して」 
(株)ニコン 河合 正治 氏
復刻の苦労話をとおして,生産技術の今と昔,技術伝承の必要性について述べる.

15:05〜15:25 休 憩

15:25〜16:55
C-2 特別企画「伊勢神宮の遷宮にみる大工の技能とその伝承− 総棟梁は語る」
伊勢神宮小工総棟梁(61回遷宮) 宮間熊男 氏
対談
岩田一明 氏,畑村洋太郎 氏,藤本英雄 氏
 座談会形式で映像もまじえて宮大工の技能を解説し,技能の伝承と教育に関して話題提供を行い,技能,スキルの解明の必要性をさぐる.
17:00〜
閉会の辞