システム創成学科 知能社会システムコース


2002年度 領域プロジェクト ならびに 卒業論文テーマ
(新井教授担当分)

募集人員: 領域プロジェクト 3名 卒論 2名
作業場所: 本郷14号館中心


新井民夫教授の研究室は, 14号館8階にあります. 湯浅秀男助教授太田順助教授との 3名で合同運営をしています. 3名で知能システム研究室と呼んでいます.
新井への質問・連絡は, TEL: 03-5841-6457      E-mail: arai-tamio(at)robot.t.+++++(U-TOKYO Address)

領域プロジェクト

新井研究室では,領域プロジェクトとして3テーマを提示し,3名を募集する.

領域プロジェクトの取り組み方として,次の4つの目標を掲げる.

  1. ミニ卒論: 取り組む時間の短い卒論として,問題の設定,先導研究の調査, 解決方法の探求,実験的証明などを一通り体験し,論文を書く能力を構築する.
  2. ソフトウェアと実験: 領域プロジェクトもできるだけ実験で手を動かすテーマを設定する. ソフトウェア開発の時間が実質長いが,最終的にモノを動かすことに拘る.
  3. 作業時間: 領域プロジェクトは週2日の午後だけだが,我々はもっと長い時間, 共に生活し,共に討論する場を提供して,専門的な議論を楽しむ.
  4. ミニ論発表会: 毎年7月中旬に行ってきた新井・湯浅・太田研究室のミニ論発表会 (研究室の全構成メンバーが発表)を通じて,対外的に発表する.これを領域プロジェクトの 打ち上げとする.

領域プロジェクト 1 『ロボカップ 4脚移動ロボットによるサッカー』     担当教官 新井 民夫 教授

◆プロジェクトのねらい
新井研究室ではRoboCupのLegged Robot Contestに1999年より参加している.これはペット型ロボットER-2100を用いてサッカーを行わせるコンテストで,ハードウェアとしては同一機器を使用して,ソフトウェア開発でロボットの知能を競う競技である.2002年は6月に福岡で開催される.コンテストにはサッカー競技以外に,ロボットの知的レベルを競うRoboCup Challengeがあり,また,国際会議も併設されている.
このプロジェクト参加者は,グループ内で作業を分担し,コンテストでの3位入賞のために頑張る.作業はグループ内で分担するが,本プロジェクト参加者には,「ボール位置の推測」「ボール転がり方向の測定による停止位置の検出」など視覚情報から行動を予測する方法を実現する.
◆プロジェクトの内容
  • ER-2100のプログラミング
  • 多センサ多自由度系の制御方法の習得
  • ロボットの行動計画立案
  • コンテストへの参加
◆プロジェクト開催場所
工学部2号館016号室(途中変更の可能性あり)
◆プロジェクト計画
4月:ER-2100の理解とプログラミング方法の習得
5月:ボール位置の推定理論
6月:RoboCupの参加
7月:発表およびレポート提出
(RoboCupが6月19日から25日に予定されているので,その前の時期の作業が多いことに注意)

研究に関連するHome Pages
RoboCup 2002 公式ページ 2002年6月に福岡で開催されるロボカップの公式ページ
新井研究室 RoboCup 新井研究室でのロボカップ活動の説明
RoboCupの研究 ロボカップに関する研究の事例:四脚ロボットのためのサッカー行動設計



領域プロジェクト 2 『ホロニック生産システムにおけるエージェントの設計と開発』     担当教官 新井 民夫 教授

◆プロジェクトのねらい
新井研究室では「ホロン」と呼ばれる自律的なエージェント群(具体的にはロボットなど)間の協調によって生産を行う「ホロニック生産システム」の研究を行っている.
本プロジェクト参加者は,ホロニック生産システム内で,他のエージェント(ホロン)と交渉を行いながら作業を遂行するエージェントを設計,開発することでエージェント技術やそれを用いたロボット制御について理解を深めることを目的とする.設計・開発するエージェントの機能の内容については今後決定するが,ロボット間の交渉とそれに基づく動作により,相互の位置関係を取得する機能の開発を予定している.
◆プロジェクトの内容
  • ホロニック生産システムについての知識の習得
  • Java によるネットワークプログラミングに関する知識の習得
  • 交渉プロトコルなどエージェント技術に関する知識の習得
  • エージェント技術に基づくロボット制御の体験
◆プロジェクト開催場所
工学部14号館821号室
◆プロジェクト計画
4月:ホロニック生産システム,JDPS(Java ベースのエージェント間通信プラットフォーム)についての学習
5月:エージェントの機能設計
6月:エージェントの機能開発
7月前半:実験
7月中旬:発表およびレポート提出

研究に関連するHome Pages
IMS/HMS Consortium Home Page Intelligent Manufacturing Systemの国際研究Programである Holonic Manufacturing Systemsを構成するConsortiumの公式Home Page. ドイツのHannover大学に置かれている
ホロニック・マニュファクチャリング・システム 研究室活動報告.PDFファイル.研究内容の全般的な紹介
国内共同研究 IMSセンターのHMS紹介ページ IMSセンター(http://www.ims.mstc.or.jp)で行われている研究紹介ページ


動画(mpg): ホラーキーの構築と作業の進行

ホロンの制御構造であるHolarchyは,Agentである機器をContract Net Protocolを使って,割り付けて変化していく.このシミュレーションはロボット3台による組立作業とその制御構造を示す.


動画(mpg): Holonic Robot Systemの実行

ホロニックロボットシステムはMulti-Agentによる組立システムであり,3台のロボットとベルトコンベアや2台のストーレッジが相互に通信しながら,組立作業を行っている.この動画は2台のロボットが部品を受け渡す動作のVTRである.


領域プロジェクト 3 『確率モデルを用いた人間の作業のモデル化』     担当教官 新井 民夫 教授

◆プロジェクトのねらい
近年の熟練作業者の減少に伴い,人間の持つ技能をモデル化し,それをロボットに応用することが期待されている.また,ユーザインタフェースの使いやすさの評価など,人間工学の分野でも,人間の作業をモデル化し定量的に扱うことの必要性が高まっている.
本プロジェクトでは,人間の作業のモデルを,音声認識などでも用いられている隠れマルコフモデル (HMM) を用いて構築する.また,適切なモデルを構築するために,情報理論における評価指標である MDL (Minimum Description Length) 基準を利用してモデルの最適化を行う.これにより,人間の作業の類似性や優劣の判別などを試みる.
◆プロジェクトの内容
  • 隠れマルコフモデル (HMM) についての知識の習得
  • MDL 基準に関する知識の習得
  • 人間の作業のモデル化とその評価
◆プロジェクト開催場所
工学部14号館826号室
◆プロジェクト計画
4月:HMM についての学習
5月:MDL についての学習
6月:人間の作業のモデル化とプログラミング
7月:作業モデルの評価と改良
7月中旬:発表およびレポート提出

研究に関連するHome Pages
ロボットへの教示のための技能表現 研究室活動報告.PDFファイル.作業教示研究の全般的な紹介

動画(mpg): 協調縄まわし
縄回しは人間でもコツの必要な作業である.この実験では人間が勝手に縄をまわすと,ロボットが縄の状態を監視しつつ,人間の縄のまわし方に適応していく

動画(mpg): 協調ハンドリング
長い剛体の棒を人間とロボットが両端を持ちながら運搬する作業は,協調制御の研究として歴史がある.ここでは,ロボットが人間の動作を先読みすることで,人間にとって 「快適」な協調作業の実現を行った.

動画(mpg): 実演教示(直方体のPick-and-PlaceとPushing
実演教示はロボットに効率良くプログラミングする方法論として重要である.ここでは直方体の人が運ぶ(Piack-and PlaceとPushingの組合せ)を教える.物体にはLEDでマークがついていて,CCDカメラでその位置姿勢を測定する.

動画(mpg): 上記実演教示(直方体のPick-and-Place)とPushingの再生
上記の教示によって得られた軌跡を元に,同様の運動を達成する.ただし,人間の指とロボットの指では大きさも動きも異なるので,そのような拘束条件を満たす動きを生成する.




卒業論文

新井研究室では,領域プロジェクトとして2テーマを提示し,2名を募集する. ただし,これらのテーマは2002年2月段階での設定であり,夏までには多少の変更が予想される.

新井研究室の卒業論文の取り組み方として,次の4つの目標を掲げる.

  1. 研究手法の習得: 卒業論文は研究である.もちろん世界で一つ,世界の最先端の研究を目指すが,しかし,まだ研究方法に関して十分な経験を有していない学生も多いことから,卒業論文は研究手法の習得にも十分な時間を割く.例えば,卒業論文はコースの締切に1週間前に提出し,大学院生ならびに教官が精読し,誤字・脱字・図表現などの細かい修正から,論旨の構成まで指摘する.
  2. 共同生活:「同じ釜の飯を食う」といった雰囲気の研究室を大事にする.季節の区切りにコンパを行い,皆でテニスを興じるなど,研究以外においても相互に協力し合う活動を行う.
  3. 先端ロボット研究発表会: 毎年11月第2週の土曜日に新井・湯浅・太田研究室と外部の関連研究室で先端ロボットの合同研究発表会を行ってきた.4年生もこれに参加し発表する.これを卒業論文の中間評価とする.その他に,精密工学会の卒論発表会など対外的な発表の場に積極的に参加する.
2002年度は,卒業研究を冬学期単独で行う初めての年のため,スケジュールが確定していないが,概略次のように行う.
 9月入試終了  顔合わせ・研究開始
10月初め    研究会にて発表
11月中旬    中間発表  先端ロボット合同研究会
12月下旬    卒論発表会資料提出
 2月上旬    卒業論文提出・試問

卒業論文 1 『RoboCupにおける行動予測モデルの構築』     担当教官 新井 民夫 教授

RoboCup

領域プロジェクトRoboCupも参照されたい. 卒論ではより研究的な側面を追求する.

Real-WorldでReal-Timeで動く知的機械研究として,RoboCupは複数移動ロボットの研究 の中心である.ロボットのサッカーのようなチームプレーにおいて,味方内での協調,あ るいは敵行動への知的対応は必要性が高いと言われながらも,まだ完全には実現されてい ない.たとえば,敵ロボットがボールを蹴った(実際には,手で押した)際に,ボールの 軌道予測ならびに敵ロボットの行動予測が高くなれば,次の行動を適格に選択することが できる.それによって,ボールを見つけ出す時間の短縮や,ボールの奪取を可能とする.

このような行動予測は「意図の理解」としてマン・マシン・インターフェース研究分野で も重要である.ロボカップの場合,ボールは物理モデルに支配される運動であるので比較 的推測は楽であるが,それでも路面の状況とセンサの誤差の影響で推測値は実際とは大き く異なる.一方,ロボットの動作推定も相手内にはある種の物理モデルが存在するが,そ れは相当複雑のため,モデル推定の問題としてはとらえられない.全体として非線形の関 数推定問題として,学習対象となる.人間の行動に至ってはもっと複雑である.

本研究では,このような予測モデルを構築して,敵味方のロボットとボールの動きを推 測するアルゴリズムの研究を進める.

◆卒論の内容

  • ER-2100のプログラミング
  • 推定方法の理論習得
  • ボールの予測系の開発
  • 非線形行動予測系の開発
  • ER-2100への組み込みと実験

◆卒業研究開催場所

  • 工学部2号館016号室(途中変更の可能性あり)
  • 工学部14号館822号室

◆卒論研究スケジュール

9月10日(水)午後に卒論を含めた研究打ち合わせを行う. できれば9月から卒論を開始を希望するが,本格的な実験などは10月から始める.

   9月: ロボットのプログラミング方法の理解
         課題設定の背景理解
  10月: 運動推定の理論習得
         非線形関数推定の理論
         基礎実験(シミュレーション)
  11月: 合同研究会
         ボール運動予測実験
         敵味方の判別
  12月: 非線形行動予測系の習得と開発
         基礎実験
         予稿提出
         RoboCup Sympo申込み
   1月: ER-2100への組込み
         RoboCup内での効果測定
   2月: 卒論執筆
         発表(2/17,18)
研究に関連するHome Pages
RoboCup 2002 公式ページ 2002年6月に福岡で開催されたロボカップの公式ページ
新井研究室 RoboCup 新井研究室でのロボカップ活動の説明
RoboCupの研究 ロボカップに関する研究の事例:四脚ロボットのためのサッカー行動設計

卒業論文 2 『ロボット教示』     担当教官 新井 民夫 教授

近年の熟練作業者の減少に伴い,人間の持つ技能をモデル化し,それをロボットに応用することが期待されている.また,ユーザインタフェースの使いやすさの評価など,人間工学の分野でも,人間の作業をモデル化し定量的に扱うことの必要性が高まっている.

本プロジェクトでは,人間の作業のモデルを,音声認識などでも用いられている隠れマルコフモデル (HMM) を用いて構築する.また,適切なモデルを構築するために,情報理論における評価指標である MDL (Minimum Description Length) 基準を利用してモデルの最適化を行う.これにより,人間の作業の類似性や優劣の判別などを試みる. 過去,人間のけんだまの動作の解析などをすでに行っているが,今後その他の 作業への適用をめざす.

◆卒論の内容

  • 隠れマルコフモデル (HMM) についての知識の習得
  • MDL 基準に関する知識の習得
  • 人間の作業の数理モデル化とその解析
  • C/MATLAB によるプログラミング

◆卒業研究開催場所

  • 工学部14号館822・826号室

◆卒論研究スケジュール

できれば9月からの卒論開始を希望するが,本格的な実験などは10月から始める.

   9月: プログラミング方法の理解
         課題設定の背景理解
  10月: HMM についての学習
         MDL についての学習
         例題タスクのモデル化と評価
  11月〜12月: 人間の作業のモデル化とプログラミング
         人間の作業データの計測
         予稿提出
   1月: 作業モデルの評価と改良
   2月: 卒論執筆
         発表(2/17,18)

研究に関連するHome Pages
ロボットへの教示のための技能表現 研究室活動報告.過去において実現した教示作業の紹介(動画あり)
HMM

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